
便秘
便秘
便秘は、便の硬さや腸蠕動(腸の動き)の低下が原因となることが多く、中には大腸がんなどの重大な病気が潜んでいる可能性もあります。慢性的な便秘でお困りの方はもちろん、「最近、排便回数・量が少ない」「急に便が細くなった」「体重も減ってきた」など、気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。
尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックでは、消化器病専門医が常駐し、便秘の診療を毎日行っています。当院では、大腸カメラ検査に加え、CT検査やエコー検査(腹部超音波検査)も完備しており、便秘に対する幅広いアプローチが可能です。
便秘は、排便の回数が少なくなったり、便が硬くて出しにくくなったりする状態です。そのメカニズム(仕組み)にはいくつかの要因が関わっており、大きく分けると「一次性便秘(機能性便秘)」と「二次性便秘(症候性便秘)」に分類されます。
腸に明らかな器質的異常がなく、腸の運動機能の低下や排便メカニズムの異常によって生じる便秘です。代表的なものには以下があります。
大腸の蠕動運動(波打つような動き)が低下し、便の通過が遅れるタイプ。加齢や運動不足、食物繊維・水分の不足などが関与します。
腹痛や腹部不快感を伴い、排便によって症状が改善するのが特徴です。
直腸の壁が膣側へ突出することで、便が直腸内に溜まりやすくなり、排便困難を引き起こします。
腸閉塞に似た症状がみられるが、実際には閉塞がなく、腸の運動機能に異常がある状態です。
病気や薬の影響によって引き起こされる便秘です。以下のような原因が考えられます。
大腸がん、憩室炎、腸重積などにより、腸管が物理的に狭くなり便の通過が障害されます。また、クローン病や虚血性腸炎といった炎症性腸疾患によっても、腸管の狭窄や癒着が起こり便秘を引き起こすことがあります。
抗コリン薬(パーキンソン病治療薬など)、三環系抗うつ薬やSSRIなどの抗うつ薬、オピオイド(医療用麻薬)、制酸薬(アルミニウム含有製剤など)、カルシウム拮抗薬(高血圧の治療薬)などの薬剤により、腸の蠕動運動が抑制されたり、腸の感受性が低下したりすることで便秘が生じます。
便秘は多くの場合、生活習慣の見直しや内服薬などで改善しますが、中には重い病気が隠れていることもあります。以下のような症状が見られる場合は、「ただの便秘」と思わず、速やかに医療機関を受診することが大切です。
便秘の治療では、まず生活習慣の改善(食事・運動・排便習慣)を基本とし、それでも十分な改善が見られない場合には薬物治療を組み合わせていきます。当院では、患者さんの症状や体質に応じて、段階的かつ丁寧な治療を心がけています。
便秘の改善には、日々の食生活の見直しがとても重要です。当院では、以下のような食事内容を患者さんの状態に応じてご提案しています。
不溶性繊維(ごぼう、さつまいも、豆類、野菜類)と水溶性繊維(海藻類、オクラ、納豆、果物など)をバランスよく取り入れます。特に水溶性繊維は便を柔らかくし、排便をスムーズにする効果があります。
1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに水分を補うことが大切です。特に朝起きてすぐのコップ1杯の水は、腸の刺激となり排便を促します。
良質な油(オリーブオイル、ナッツ類)を適度に摂取することで、便の滑りが良くなります。
食事による「胃・結腸反射」が働き、排便が促されやすくなります。
食事・生活習慣の改善と並行して、必要に応じて薬物療法を行います。薬の選択は、年齢・排便回数・便の硬さ・腹部症状などを総合的に判断して行います。
腸管内に水分を引き込むことで便を柔らかくし、排便を促す薬です。便秘治療の第一選択薬として広く用いられています。
効果が早く、一時的な“レスキュー”として使用します。連用すると効果が減弱したり、依存を招くことがあるため、使い方には注意が必要です。
水分を保持しながら便のかさを増やし、自然に近い排便を促します。小児や高齢者にも使用される、安全性の高い薬剤です。
腸内細菌により発酵され、有機酸を産生して腸を刺激しつつ、便の水分量を増やします。
腸の粘膜から水分分泌を促し、便を柔らかくして排出を助ける薬。慢性便秘症に対して効果が高く、特に女性や高齢者での使用が多いです。
主に便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)に対して使用され、腹痛や膨満感にも効果があります。
胆汁酸の再吸収を抑えることで、腸管内の水分を増やし、便通を改善します。朝食前に服用しやすい新しい作用機序の薬です。
便秘は一つの症状に見えて、実は背景に多様な原因が隠れていることもあります。その診断と治療には、専門的な知識と丁寧な検査が欠かせません。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や背景に応じて、適切な検査を組み合わせながら、原因の特定と最適な治療を行っています。以下は、当院で実施している主な検査です。