
尼崎市塚口の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
今回ご紹介するのは、当院院長が執筆した大腸ポリープ切除に関する論文
「20–30mm大腸ポリープに対する水浸下粘膜切除術(UEMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の比較」についてです。
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UEMRとは?
UEMR(Underwater Endoscopic Mucosal Resection)は、腸内に水を満たした状態でポリープを切除する方法です。従来のEMRに比べ、以下の特徴が報告されています:
- ✅ 粘膜下への注入が不要で腸壁への負担が少ない
- ✅ 水中で浮いた病変を切除するため比較的短時間で手技が完了する可能性がある
- ✅ 分割切除でも局所再発率は低い傾向が示唆されている
ESDとは?
ESD(Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)は、病変の周囲を切開して粘膜下層を剥離し、ポリープや早期がんを一括で切除できる高度な治療法です。
- ✅ 切除標本をまるごと病理検査でき、正確な診断が可能
- ✅ 大きな病変やがん化が疑われるポリープに適応されることが多い
- ✅ 手技が高度で体への負担も大きく、原則として入院が必要
院長の論文で示された知見
院長が執筆した今回の研究では、20–30mmの大腸ポリープに対してUEMRとESDを比較したところ:
- ✅ 切除時間はUEMRの方が短い傾向がみられた(平均7分、ESDは65分)
- ✅ 局所再発率や長期予後に大きな差は認められなかった
- ✅ 合併症発生率は両群で低かった
ただし、この研究は単施設の後ろ向き研究であり、症例数にも限りがあるため、結果を一般化するにはさらなる検証が必要です。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な方法を検討することが大切です。
当院での診療の考え方
当院では、論文で得られた知見も踏まえながら、
- ✅ UEMRを安全に行える技術を培った院長が、直接診療・施術を担当
- ✅ ポリープ切除は基本的に日帰りで実施可能
ただし、大きさや形状、出血や穿孔のリスクが高いと判断される場合は、無理に日帰り切除を行わず、安全を最優先に考えて適切な専門施設へ責任を持ってご紹介いたします。
まとめ|大腸がん予防には早めの検査と切除を
大腸ポリープは放置すると大腸がんの原因になることがありますが、早期に切除すればがんを未然に防げます。当院では、UEMRを含めた最新の技術を用いて、患者さんに安心・安全な治療を提供しています。
「便潜血で陽性だった」「大腸ポリープを指摘された」という方は、お気軽にご相談ください。