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尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
「整腸剤」とひと口にいっても、実は中身も役割もさまざま。腸内細菌叢(フローラ)にどのように働きかけるのかで“効きどころ”が違います。当院では症状や背景(抗菌薬内服の有無、便秘・下痢のタイプ、年齢、服用中の薬)を丁寧に確認したうえで選択しています。なかでもミヤBMを使用する機会が多いのですが、ほかの整腸剤にも柔軟に対応しています。本稿では、患者さんがイメージしやすいよう市販名・処方名の例を挙げながら、各製剤の個性を詳しく解説します。
整腸剤の基本:何に効いて、どう選ぶ?
- ・腸内のpHや代謝物(短鎖脂肪酸など)を整えて、有害菌の増殖を抑える
- ・腸粘膜のバリア機能を支え、蠕動(ぜんどう)運動や便性を整える
- ・選び方の軸:便秘寄りか下痢寄りか/抗菌薬の併用有無/薬の相互作用/飲みやすさ
1.乳酸菌製剤 ─「酸で場を整える」オールラウンダー
代表例:新ビオフェルミンS錠(一般用)、医療用ラクトミン製剤 など
- ・乳酸を産生して腸内pHをやや酸性に保ち、有害菌を抑える基本形。
- ・腹部膨満や軽い便秘・下痢に幅広く使いやすい。
- ・向いている場面:はじめての整腸剤、年齢を問わず使いたい、マイルドに整えたい。
- ・注意:まれにガスが増える感じが出ること。開始直後は少量から様子を見ると安心。
2.ビフィズス菌製剤 ─「大腸でぴったり働く」便秘ケアの主力
代表例:ラックビー微粒、ビフィズス菌製剤各種
- ・主戦場は大腸。乳酸・酢酸を作って悪玉菌を抑え、便の水分バランスを整える。
- ・向いている場面:便秘傾向、硬い便・残便感、乳幼児から高齢者まで幅広く。
- ・補足:プレバイオティクス(オリゴ糖や水溶性食物繊維)と併用すると相乗的。
3.酪酸菌製剤(宮入菌) ─「粘膜の元気を養う」ミヤBMが得意
代表例:ミヤBM
- ・酪酸などの短鎖脂肪酸を産生。大腸上皮のエネルギー源となり、粘膜バリアを強くするのが持ち味。
- ・芽胞を作るため酸や熱に強く、生きて腸に届きやすい。
- ・抗菌薬と併用しても効果が減弱しにくいことが知られ、抗菌薬関連の腸内環境の乱れに実臨床で使いやすい。
- ・向いている場面:下痢気味・腸の張り、抗菌薬内服中/後、炎症や粘膜のもろさが気になるとき。
4.複合生菌製剤 ─「多方向から整える」ビオスリー
代表例:ビオスリー(乳酸菌+芽胞形成菌+酪酸菌を配合)
- ・乳酸で場を整え、芽胞形成菌でしっかり生き残り、酪酸で粘膜を養う──三つ巴で相乗効果を狙う処方。
- ・便秘と下痢が交互にくるタイプ(IBS様)や、単剤での反応が乏しいケースで選択肢に。
- ・向いている場面:症状が揺れやすい、1剤で幅広くカバーしたい。
5.納豆菌製剤 ─「タフに生き残る」ただし相互作用に注意
代表例:納豆菌含有整腸剤各種(一般用を含む)
- ・芽胞形成で消化液に強く、生存力が高い。便秘・下痢いずれにも使われる。
- ・重要:納豆由来成分はワーファリン(抗凝固薬)の効果を弱めるおそれ。
ワーファリン内服中は原則として納豆菌製剤を避ける/主治医に必ず相談。
6.酵母製剤 ─「腸だけでなく全身もサポート」
代表例:エビオス錠(ビール酵母由来)、医療用酵母製剤(サッカロマイセス系)など
- ・腸内で有害菌の過剰増殖を抑え、下痢の改善に使われる。
- ・ビタミンB群・アミノ酸・ミネラルを含み、食欲不振や栄養補助にも処方・推奨されることがある。
- ・注意:痛風・高尿酸血症の方は、酵母由来のプリン体摂取に留意。中心静脈カテーテル留置など免疫低下の方では医師と相談。
当院がミヤBMをよく処方する理由(実臨床の感触)
- ・抗菌薬併用下でも選びやすく、治療の連続性を保てる。
- ・粘膜栄養(酪酸)という観点から、“治る土台”を作るのに向いている。
- ・ガス・腹部膨満の軽減や便性の安定化に手応えを得やすい。
とはいえ万能薬はありません。便秘優位ならビフィズス菌、症状が揺れるなら複合生菌、栄養面の後押しが必要なら酵母製剤など、人と症状に合わせて最適解を選ぶのが方針です。当院はミヤBM以外の整腸剤にも幅広く対応しています。
タイプ別・ざっくり選び方
- ・便秘寄り:ビフィズス菌製剤(例:ラックビー)±乳酸菌、食物繊維と併用で相乗。
- ・下痢寄り/抗菌薬後:ミヤBM、ビオスリー、酵母製剤(下痢主体)。
- ・症状が交互に出る:ビオスリーなど複合生菌で幅広く。
- ・薬の相互作用が心配:ワーファリン中は納豆菌を避ける。抗菌薬中はミヤBMが候補。
- ・妊娠・授乳・小児:基本的に使いやすいが、銘柄・用量は医師の指示に従う。
よくある質問(Q&A)
- ・いつ飲めばいい?
多くは食後に指示されますが、製剤で異なります。処方箋・外箱の指示を優先してください。 - ・どのくらいで効く?
腸内環境は“畑”づくり。数日で変化を感じる方もいれば、2〜4週間かけて整っていく方もいます。 - ・副作用は?
まれに腹部膨満・ガス増加。免疫が大きく低下している方は医師に必ず相談してください。 - ・食事との相性は?
発酵食品(ヨーグルト・味噌・納豆)や水溶性食物繊維(オーツ、海藻、果物)と併用すると相乗効果が期待できます。
整腸剤だけに頼らない“腸活”のコツ
- ・起床後の一杯の水、朝食(特に食物繊維+発酵食品)で腸のスイッチを入れる。
- ・ウォーキングなど中等度の運動で蠕動を促す。
- ・睡眠・ストレスケアで自律神経を整える。
まとめ
整腸剤は乳酸菌(例:ビオフェルミン)、ビフィズス菌(例:ラックビー)、酪酸菌=宮入菌(ミヤBM)、複合生菌(ビオスリー)、納豆菌、酵母(エビオス/医療用酵母)と多彩。
それぞれの個性=効きどころを踏まえて選ぶことが、最短距離の改善につながります。
当院ではミヤBMをはじめ、患者さんに合わせた整腸剤を提案し、眠ったまま受けられる胃カメラ・大腸カメラなどの検査で原因精査も行っています。長引く便通異常やお腹の張りでお困りの方は、どうぞ気軽にご相談ください。
当院は、尼崎市・阪急塚口駅北口から徒歩1分の立地にあり、通勤やお買い物ついでにも立ち寄りやすい環境です。
また、伊丹市・西宮市・豊中市・大阪市(淀川区、西淀川区)などの隣接エリアや、
阪急西宮北口駅・武庫之荘駅・園田駅・神崎川駅・十三駅・稲野駅・新伊丹駅・伊丹駅といった周辺の駅からのアクセスも良好です。
JR猪名寺駅、塚口駅、尼崎駅や立花駅からはバスでのご来院も便利です。
遠方からお越しの方にもスムーズにご来院いただけるよう、アクセス情報は公式サイトにも詳しく掲載しています。
胃カメラ・大腸カメラなどの検査をご希望の方も、どうぞお気軽にご相談ください。
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