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こんにちは。尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
「自然由来」として、便秘解消のためにセンナ茶を常用されている方が増えています。確かにセンナ茶には一時的な排便促進効果がありますが、長期にわたって飲み続けると、かえって便秘を悪化させてしまうこともあるのをご存知でしょうか?
本日は、センナ茶の特徴とリスク、そして当院が推奨するより安全で体に優しい便秘対策について詳しくご紹介します。
センナ茶とは?|腸を刺激する下剤成分を含む「お茶」
センナ茶は、マメ科の植物「センナ」の葉やさやから作られたお茶で、センノシドという下剤成分を含みます。このセンノシドは腸内細菌の働きによって活性化され、大腸のぜん動運動を刺激し、排便を促します。
薬に頼らず自然に出る感覚があるため、慢性的に便秘に悩む方にとっては魅力的かもしれません。
ただし…長期使用には注意が必要です
センナ茶を毎日・長期的に飲み続けると、以下のような問題点が指摘されています。
- ■腸の機能低下(耐性・依存性):腸が“外部からの刺激”に慣れてしまい、自力で排便できなくなることがあります。
- ■電解質異常:下痢や頻繁な排便によって、体内のカリウムやナトリウムが不足し、脱力感・不整脈・けいれんなどを招くことも。
- ■大腸メラノーシス(色素沈着):センナによる刺激が続くことで、大腸の粘膜が黒く変色してしまうことがあります。
便秘対策は「腸にやさしく」が鉄則です
便秘は、一時的な刺激で解消するよりも、腸内環境を整えて自然なお通じを促すことが重要です。以下は、当院が推奨する「体にやさしい便秘対策」です。
① 有酸素運動
ウォーキングや自転車、水中ウォーキングなどの中程度の有酸素運動は、腸のぜん動運動を活発にし、排便を助けます。1日20~30分を目安に、無理なく続けられる運動を選びましょう。
② 発酵食品と乳酸菌
ヨーグルト・味噌・納豆・ぬか漬け・キムチなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えるのに役立ちます。
③ 食物繊維の摂取
野菜・果物・海藻・豆類・全粒穀物には、腸内の水分を保持して便のかさを増やす「不溶性食物繊維」や、腸内の善玉菌のエサになる「水溶性食物繊維」が含まれています。両者をバランスよく摂ることが大切です。
それでも改善しないときは、医師にご相談を
慢性的な便秘の中には、大腸がんや大腸ポリープなどが隠れている場合もあります。頑固な便秘が続くときは、早めの受診をおすすめします。
当院では、血液検査・大腸カメラ・腹部CTなどの専門検査を通じて、便秘の根本的な原因を丁寧に診断します。
まとめ|“自然派”でも「飲みすぎ」はリスクに
センナ茶は「自然のものだから安心」と思われがちですが、長期間・常用することで腸に負担をかけてしまう可能性があります。
便秘は体からのサインです。その背景に何があるのかを調べ、体にやさしい方法で改善を目指すことが、将来の健康を守る第一歩です。
お腹の不調でお悩みの方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。