
尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
当院では、麻酔を用いた苦痛の少ない大腸カメラ検査を通じて、がんの早期発見や予防をサポートしています。今回は「便潜血検査と大腸カメラ検査の違い」について、最新の研究結果も踏まえながら解説します。
便潜血検査とは?
便潜血検査は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査で、進行した大腸がんのスクリーニングに広く用いられています。簡便で安価なことから、日本の公的な大腸がん検診ではこの検査が採用されています。
便潜血検査の限界とポリープの見落とし
- ・大腸ポリープは将来大腸がんに進展するリスクがありますが、サイズが小さい間は出血していないことが多く、便潜血検査では見逃される可能性が高い
- ・痔など別の原因で陽性になることもあり、精度には限界がある
- ・陰性でも大腸がんが完全に否定されるわけではない
最新研究が示す「内視鏡による予防効果」
2022年に『New England Journal of Medicine』に掲載された研究(NordICC試験)では、ランダム化比較試験により大腸内視鏡検査の有用性が改めて示されました。対象はヨーロッパの約8万人の住民で、内視鏡検査を勧めた群と勧めなかった群で比較したところ、10年間の大腸がんの発症率が1.20%から0.98%に減少。さらに、大腸がんによる死亡率は0.31%から0.28%に減少していました。
この結果から、大腸カメラ検査は「大腸がんを見つけるだけでなく、予防する力」もあることが明らかになっています。
大腸カメラ検査のメリット
- ・ポリープの有無を直接確認できる
- ・見つけたポリープをその場で切除可能(将来のがん予防)
- ・大腸がん発見における精度が高く、安心感につながる
定期的な検査で将来の安心を
40歳以上の方や、大腸がんの家族歴がある方、便通異常が続く方などは特に、便潜血検査だけでなく定期的な内視鏡検査の併用が推奨されます。
当院では、鎮静剤を用いた苦痛の少ない大腸カメラ検査を提供しており、多くの患者様に「もっと早く受けておけばよかった」とご好評いただいています。