内視鏡でがんが取り切れたのに追加手術?|理由と判断基準を解説|阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック|尼崎市の胃カメラ・大腸カメラ

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内視鏡でがんが取り切れたのに追加手術?|理由と判断基準を解説

内視鏡でがんが取り切れたのに追加手術?|理由と判断基準を解説|阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック|尼崎市の胃カメラ・大腸カメラ

尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
「内視鏡でがん(ポリープ)を切除しました。取り切れています――でも追加で手術を検討しましょう。」そう説明されると、多くの方が戸惑うと思います。
この記事では、その“ギャップ”を埋めるために、なぜ追加手術を勧めるのかどんな場合に必要になるのか、そして避けた方がよいケースまで、やさしく丁寧に解説します。必要に応じて、胃カメラ大腸カメラCTやエコーなどの画像検査のページもご参照ください。

「取り切れた」と「治癒切除」は同じではありません

内視鏡治療(EMR/ESD)では、病変を体の外へ“取り出す”ことができます。内視鏡医の目視では「取り切れた(見た目に残っていない)」ように見えても、顕微鏡で調べた結果(病理診断)が将来の再発・リンパ節転移リスクを示す場合があります。
ここで重要なのが、R0切除(がんの断端にがんが付いていない=取り残しなし)と、治癒切除(将来の転移リスクが十分に低いと判断できる条件を満たす)という2つの概念です。
R0でも、深い浸潤や脈管侵襲があると治癒切除ではない(非治癒切除)と判定され、内視鏡では届かないリンパ節を含めた治療=追加手術が推奨されます。

なぜリンパ節を手術で取るの?

内視鏡治療は粘膜〜粘膜下層の病変を「局所」から切り取る治療です。一方、リンパ節への転移は局所を超えた広がりです。内視鏡ではリンパ節を一緒に取り除くことができません。
つまり、病理で「将来リンパ節に転移する可能性がある」と判断された場合、追加で外科手術(リンパ節郭清)を行うことで、見えない転移の芽を摘み取り、再発の確率を下げることが目的になります。

追加手術を考慮する主なケース(胃・大腸・食道の共通イメージ)

  • 垂直断端陽性/不明(深部の切り口にがんが触れている・評価不能):取り残しや壁深部への広がりが疑われます。
  • 粘膜下層への深い浸潤:一定以上の深さまで達した場合、リンパ節転移リスクが上がります。
  • 脈管侵襲あり(ly+ / v+):がん細胞がリンパ管・血管内に見つかる所見で、転移の通り道になり得ます。
  • 低分化成分・印環細胞・未分化成分・高グレードの腫瘍芽(budding):生物学的に転移しやすい特徴です。
  • 分割(ピースミール)切除で正確な評価が困難:断端や深さが判定しづらい場合に手術を検討します。
  • 穿孔など合併症で十分な安全マージンが確保できない:安全性の観点から外科的治療を選ぶことがあります。

臓器別の考え方(概要)

基準は臓器や病理型で少しずつ異なります。以下はイメージです(最終判断は個別の病理結果と全身状態で行います)。

  • 胃(早期胃がん):分化型・大きさ・潰瘍の有無・深達度(粘膜内/粘膜下層)・脈管侵襲の組み合わせで「内視鏡で治癒切除か」を判定。非治癒なら追加手術(胃切除+リンパ節郭清)を検討します。
  • 大腸(Tis/T1):粘膜内(Tis)は通常内視鏡で完結。粘膜下層T1で深達度が一定以上・脈管侵襲・低分化・高グレードbudding・垂直断端陽性などがあると、追加手術(腸切除+リンパ節郭清)を検討します。
  • 食道(扁平上皮がん):粘膜内(EP/LPM)は内視鏡で完結しやすい一方、粘膜筋板(MM)や粘膜下層浅層(SM1)以深ではリンパ節転移リスクが上がり、外科手術や化学放射線などを含めて総合的に検討します。

「取り切れたのに手術」は損なの?──誤解をほどくポイント

  • 内視鏡は“局所治療”、手術は“全体治療”:内視鏡は見える病変を切り取る治療。リンパ節のリスクに対しては手術で対応します。
  • 再発の可能性を下げるための前向きな一歩:後から再発して大きな手術・化学療法が必要になるより、早めに適切な追加治療を行う方が結果として身体的・精神的・経済的負担を抑えられることがあります。
  • 全員が手術ではない:条件を満たす治癒切除なら追加手術は不要で、内視鏡と画像検査で経過観察します。

追加手術以外の選択肢があり得る場面

患者さんの年齢・合併症・社会背景、病理の程度により、手術以外の選択が現実的なこともあります。主治医とよく相談して最適解を探します。

  • 追加の内視鏡治療(再切除・焼灼):水平断端(側方)が陽性で局所遺残が疑われる場合など。
  • 追加化学放射線療法:食道でMM/SM浅層など、臓器特性と全身状態を踏まえた選択。
  • 厳密な経過観察:リスクがごく低い・高齢や重い合併症で手術のデメリットが大きい場合に、内視鏡+CT/エコーで慎重にフォロー。

検査・フォローの流れ(当院の一例)

  • 術後の詳細病理説明:顕微鏡所見(深さ、脈管侵襲、分化度、断端)を図示し、治癒/非治癒の判定理由を明確化。
  • 全身評価:必要に応じてCTや腹部エコーを組み合わせ、リンパ節や他臓器の評価を行います。
  • 専門施設との連携:外科治療が最適と判断される場合、適切なタイミングで高次医療機関へ速やかにご紹介。
  • 経過観察の設計:治癒切除例では、胃カメラ大腸カメラの再検査時期を個別に設定します。

避けた方がよい/慎重に判断するケース

追加手術が“原則適応”に見えても、次のような場合は総合的に再検討します。

  • 高齢で全身麻酔のリスクが高い、重い心肺疾患・腎不全などがある。
  • 日常生活の自立度が低く、手術後の回復が見込みにくい。
  • 病理学的リスクがボーダーで、画像評価でも転移の兆候がない(この場合は経過観察という選択肢も視野に)。
  • 患者さんの価値観(仕事・介護・ライフプラン)から、まずは監視を希望される。

よくある質問

  • Q. 手術を遅らせると手遅れになりませんか?
    多くは数週間の範囲で治療計画を立てます。病理・画像を揃え、納得の上で進めることが大切です。
  • Q. 追加手術後の生活は?
    臓器や術式により異なりますが、栄養・運動・内視鏡/画像での定期フォローで再発予防と早期発見を図ります。

当院の特長

当院では、眠ったまま受けられる胃カメラ・大腸カメラに対応し、日帰り大腸ポリープ切除も可能です。院長は京都大学医学部附属病院や大阪国際がんセンターなどで20,000件以上の内視鏡を担当。術後の病理説明から追加治療の設計、地域の基幹病院との連携まで一貫してサポートします。

不安なお気持ちに寄り添いながら、最も納得できる選択を一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。


阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック|消化器内科・内視鏡内科・肛門外科・内科

当院は、尼崎市・阪急塚口駅北口から徒歩1分の立地にあり、通勤やお買い物ついでにも立ち寄りやすい環境です。

また、伊丹市・西宮市・豊中市・大阪市(淀川区、西淀川区)などの隣接エリアや、
阪急西宮北口駅・武庫之荘駅・園田駅・神崎川駅・十三駅・稲野駅・新伊丹駅・伊丹駅といった周辺の駅からのアクセスも良好です。
JR猪名寺駅、塚口駅、尼崎駅や立花駅からはバスでのご来院も便利です。

遠方からお越しの方にもスムーズにご来院いただけるよう、アクセス情報は公式サイトにも詳しく掲載しています。
胃カメラ・大腸カメラなどの検査をご希望の方も、どうぞお気軽にご相談ください。

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