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尼崎市・塚口の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
たばこを吸わないのに、家族やパートナー・職場の喫煙で煙にさらされる受動喫煙(セカンドハンドスモーク)。
受動喫煙は心血管疾患や呼吸器疾患のみならず、上部消化管(口腔・咽頭・喉頭・食道)を含む発がんリスクとも関連が指摘されています。ここでは、とくに食道扁平上皮がんとの関係を中心に、仕組みと対策をわかりやすく解説します。
◆ 受動喫煙とは?「副流煙」はフィルターなし
喫煙者が吸い込む主流煙に対し、タバコの先端から立ちのぼる煙は副流煙と呼ばれます。副流煙はフィルターを通らないため、ニトロソアミン・多環芳香族炭化水素(PAHs)・アセトアルデヒドなどの有害物質が高濃度に含まれ、まわりの人が吸い込みやすいのが特徴です。換気が不十分な室内や車内では、非喫煙者でも短時間で高濃度曝露になることがあります。
◆ 食道がん(扁平上皮がん)との関連
食道がんは大きく扁平上皮がんと腺癌に分けられ、日本では90%以上が扁平上皮がんです。能動喫煙(自分で吸う)と飲酒は主要リスクですが、受動喫煙でも以下の理由からリスク上昇の可能性が考えられます。
- ■ 副流煙はフィルターを通らないため有害物質濃度が相対的に高い
- ■ 発がん関連物質(ニトロソアミン、PAHs、アセトアルデヒド)が上部消化管粘膜に直接接触
- ■ 受動喫煙は長期・反復しやすく、累積曝露が蓄積する
疫学研究でも、家庭・職場での受動喫煙暴露が上部消化管のがんリスクを押し上げるとする報告があります。研究デザインや対象により強さは異なるものの、「吸わないから安全」とは言い切れないことは共通の見解です。
◆ 受動喫煙で注意したい場面
- ■ 家族・パートナーが喫煙者(とくに室内・車内喫煙)
- ■ 喫煙者が多い職場(飲食・接客、建設現場、喫煙所の近接など)
- ■ 換気不十分な空間に長時間滞在(自宅・職場・車)
◆ からだへの影響の仕組み(かんたん解説)
- ■ 化学的ダメージ:アセトアルデヒドやニトロソアミンが粘膜のDNAを傷つけ、修復エラーの蓄積を招く
- ■ 慢性炎症:繰り返す刺激で食道粘膜の炎症・上皮再生が続き、発がん環境が形成される
- ■ 相乗効果:飲酒歴があるとアセトアルデヒド暴露が増え、受動喫煙との相乗でリスクがさらに上がる可能性
◆ 今日からできる受動喫煙対策
- ■ 家・車は完全禁煙:換気扇・窓開け・空気清浄機では十分に除去できません
- ■ 喫煙は屋外の指定場所のみ:同居家族・パートナーにも周知・合意形成を
- ■ 職場の環境改善:分煙でなく屋内全面禁煙が理想。困る場合は産業医・管理部門へ相談
- ■ 禁煙支援の活用:同居人・同僚の禁煙が最大の対策。医療機関の禁煙外来や社内制度を案内
- ■ 曝露記録:日々の受動喫煙状況(場所・時間)をメモし、改善交渉や相談時の材料に
◆ こんな症状があれば、早めにご相談を
- ■ のどの違和感、しみる感じ、声のかすれが続く
- ■ 食べ物のつかえ感・嚥下時の痛み
- ■ 胸やけ・胸の不快感が長引く
- ■ 体重減少、貧血、原因不明の倦怠感
食道がんは症状に乏しく進行が早いことがあります。受動喫煙の機会が多い方は、症状の有無にかかわらず、胃カメラによる食道の丁寧な観察を検討しましょう。NBI拡大観察やルゴール染色を併用することで、早期のごく小さな変化の検出が期待できます。
◆ 当院の体制
- ■ 鎮静下の胃カメラで負担を抑えつつ、食道を含めた精密観察を実施
- ■ 微細病変の拾い上げに注力(NBI拡大、色素内視鏡)
- ■ 必要に応じてピロリ菌検査・逆流評価など、上部消化管トータルの原因検索にも対応
まとめ|「吸わないから安心」ではなく、受動喫煙の管理を
受動喫煙はフィルターを通さない副流煙によって有害物質の曝露が増え、上部消化管を含む発がんリスクを押し上げる可能性があります。
家庭や職場の環境整備・禁煙支援の活用で曝露をできるだけ避け、違和感があれば早めにご相談ください。胃カメラでの早期発見が、その後の治療成績を大きく左右します。
◆ 関連ページ
食道・胃の精密検査には胃カメラが有効です。
→ 当院の胃カメラ検査
便通異常や出血がある場合は大腸カメラもご検討ください。
→ 当院の大腸カメラ検査
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