大腸がん治療後の運動が再発リスクを減らす?|阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック|麻酔を使った胃カメラ・大腸カメラ

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大腸がん治療後の運動が再発リスクを減らす?

大腸がん治療後の運動が再発リスクを減らす?|阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック|麻酔を使った胃カメラ・大腸カメラ

こんにちは。尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
当院では、胃カメラ検査・大腸カメラ検査などを通じて、地域の皆さまの健康をサポートしております。

近年、大腸がんは早期発見・早期治療が進んでいる一方で、「治療後に再発が心配」「運動しても本当に意味があるの?」といった患者さんの声も多く寄せられます。

そんな中、2025年6月に『New England Journal of Medicine』誌に掲載された大規模研究が注目を集めています。カナダ・オーストラリアなど55施設で実施された本研究では、「大腸がんの術後化学療法(補助化学療法)を終えた患者さんに、3年間の構造化された運動プログラムを導入することで、がんの再発や死亡リスクが有意に低下する」という結果が示されました。(論文はこちら

運動によって、大腸がん治療後の再発や死亡リスクが低下する?

この研究では、ステージIIIまたはハイリスクのステージIIの大腸がん患者889人を対象に、運動プログラム群と健康教育群にランダムに分けて比較されました。

その結果、運動群では再発や新たながん、死亡のリスクが28%低下し、5年後の再発なく生存している割合(無病生存率)は80.3%と、健康教育群の73.9%よりも明らかに高い数値となりました。

さらに、8年後の全生存率も運動群で90.3%と、健康教育群(83.2%)より高く、有意な差が認められました。

院長の見解:がん治療のパラダイムを変える可能性

当院の院長は、これまで2万件を超える内視鏡診療に携わりながら、大腸がんの術後フォローにも数多く関わってきました。

今回の研究は、運動が単に体力を維持する手段にとどまらず、がんの再発や死亡のリスクを下げる“治療戦略の一部”になり得ることを示しており、非常に意義深いと感じています。

特に大腸がん治療後は体力・意欲が低下してしまう方も多く、「運動の継続」が大きな壁になります。当院では、術後の体調に合わせた生活アドバイスや再発予防の視点からの健康支援にも力を入れており、今回の研究結果を踏まえて、より実践的な運動のアドバイスも日々の診療に取り入れていきたいと考えています。

どんな運動をすればいいの?

研究では、ウォーキングや軽いジョギングといった「中等度以上の有酸素運動」を週150分程度行うことを目標としていました。

たとえば:

  • ■1日30分のウォーキング × 週5回
  • ■週3回のジョギング(20〜30分)

といった取り組みが推奨されます。

運動は、免疫の活性化、インスリン抵抗性の改善、慢性炎症の抑制などを通じて、がん細胞の再増殖を抑える可能性があると考えられています。

再発予防と生活の質の両立へ

運動は再発リスクを下げるだけでなく、体力や気力の回復、うつの軽減、生活の質(QOL)の向上にも効果があるとされており、まさに一石二鳥の予防策です。

ただし、無理な運動や自己流での取り組みは、かえって体を痛めてしまうこともあるため、医師と相談しながら、自分に合ったスタイルで取り組むことが大切です。

まとめ|運動でがん予防を「自分の手」に

「運動は苦手」「年齢的に難しい」と感じている方も多いかもしれません。

しかし、ほんの少しの習慣が、がんの再発を遠ざけ、元気な毎日を取り戻す一歩になります。

当院では、術後のフォローや健康相談も積極的に行っており、体調や生活背景にあわせたアドバイスを心がけています。少しでも不安や疑問があれば、お気軽にご相談ください。