尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。

健康診断や人間ドックの腹部エコー検査で「胆石がある」と言われた方は少なくありません。
自覚症状がないまま見つかることも多い胆石ですが、放置すると胆のう炎・胆管炎・膵炎などの合併症を引き起こす危険があります。
今回は、胆石ができやすい人の特徴と、注意すべき症状・検査・治療についてわかりやすく解説します。

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◆ 胆石とは？

胆のうとは、肝臓の下にある小さな袋状の臓器で、肝臓で作られた胆汁（脂肪を消化する液体）を一時的にためています。
この胆汁の中に含まれるコレステロールやビリルビンなどの成分が固まって石のようになったものが胆石です。

◆ 胆石ができやすい人の特徴

胆石は誰にでも起こりうる病気ですが、次のような条件を持つ方ではリスクが高まります。

• ・女性（特に40歳以上）
• ・肥満体型、または急な体重減少をした人
• ・脂っこい食事や外食が多い
• ・糖尿病、高脂血症がある
• ・妊娠・出産経験がある
• ・エストロゲン製剤（ホルモン薬）を服用している
• ・家族に胆石の既往がある

胆石は、「4F」＝Fat（肥満）、Female（女性）、Forty（40代以上）、Fertile（妊娠経験）と表現されることもあります。

◆ 胆石の種類とできる場所

胆石はできる場所によって種類が異なります。

分類	できる場所	主な特徴
胆のう結石	胆のうの中	最も多い。無症状のこともあるが、詰まると胆のう炎を起こす。
総胆管結石	胆汁の通り道（胆管）	強い腹痛・発熱・黄疸などを伴い、緊急治療が必要なこともある。
肝内結石	肝臓の中の胆管	再発しやすく、長期の経過観察が必要。

◆ 胆石によって起こる主な病気

① 急性胆のう炎

胆のうの出口に石が詰まって胆汁が流れなくなり、細菌感染を起こす病気です。
右上腹部の激しい痛み・発熱・吐き気が特徴です。

② 胆管炎

胆石が胆管に落ちて詰まることで炎症を起こします。
発熱・黄疸・右上腹部痛が3主徴（シャルコーの三徴）とされます。
重症化すると敗血症になる危険があり、緊急入院・内視鏡的ドレナージが必要です。

③ 胆石性膵炎

胆石が膵臓の出口をふさぐことで膵液が逆流し、膵炎を引き起こす状態です。
みぞおち～背中にかけての激痛が特徴で、重症化すると命に関わることもあります。

◆ 注意すべき症状

次のような症状がある場合は、胆石が原因の可能性があります。

• ・右上腹部の差し込むような痛み（特に食後）
• ・背中や右肩に響く痛み
• ・発熱や寒気を伴う
• ・黄疸（皮膚や白目が黄色い）
• ・吐き気・嘔吐

一時的に痛みが治まっても、再発や重症化することがあるため、早めの受診が大切です。

◆ 当院で行える検査

胆石は、腹部エコー（超音波）検査で簡単に確認できます。
必要に応じて、血液検査・CT検査・MRCP（胆管MRI）などを行い、胆のう炎や胆管炎、膵炎の有無を確認します。

• ・腹部エコー・CT検査：胆石・胆のう炎の確認
• ・血液検査：肝機能・炎症反応・胆道系酵素（ALP、γ-GTP）

◆ 胆石があると言われたらどうすべき？

無症状の胆石（サイレントストーン）はすぐに手術が必要なわけではありません。
ただし、次のような場合は外科的治療（胆のう摘出術）が検討されます。

• ・胆のう炎を繰り返している
• ・胆石発作（右上腹部痛）を何度も起こす
• ・胆のうポリープや石灰化胆のうを合併している
• ・膵炎を起こしたことがある

◆ 胆石を予防する生活習慣

• ・脂っこい食事を控え、食物繊維を意識的に摂る
• ・極端なダイエットや断食を避ける
• ・適度な運動を習慣にする
• ・水分をしっかり摂取する
• ・定期的に健康診断で腹部エコーを受ける

◆ まとめ｜胆石は「沈黙のうち」に進行することも

胆石は無症状で経過することも多いですが、ひとたび詰まると急性胆のう炎や胆管炎を引き起こす危険があります。
早期発見・早期対応により、重症化を防ぐことができます。
右上腹部の痛みや食後の違和感が続く方は、ぜひ一度ご相談ください。

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