
こんにちは。尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
今回は「脂肪膵と膵臓がんリスク」について、最新の研究結果と院長の経験を踏まえてご紹介します。
引用元:
2025年6月に発表された東京大学医学部附属病院の研究成果により、脂肪膵(fatty pancreas)が膵臓がんのリスク因子となる可能性が報告されました。
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脂肪膵とは?
脂肪膵(fatty pancreas)は、膵臓に脂肪が沈着した状態を指します。近年では腹部エコーやCTなどの画像検査で確認される機会が増えています。
当院の院長が医師になった当時から、脂肪膵の所見は超音波検査で知られていましたが、「脂肪肝」と違って、明確なリスクとしての位置づけはなされていませんでした。
脂肪膵は膵臓がんのリスクとなるのか?
これまで「脂肪膵」が膵臓がんとどのように関係するかは不明でした。しかし、このたび国立がん研究センターなどによる研究結果が報告され、脂肪膵が将来的な膵臓がんのリスクとなる可能性が明らかになってきました。
この研究では、膵臓に脂肪が沈着している人の一部において、膵臓がんの発症リスクが高まっていることが示されました。これにより、脂肪膵が膵臓がんの「プレリスク」状態として注目されるようになったのです。
当院の見解と今後の展望
当院は、脂肪膵がただの“所見”ではなく、リスクの芽として評価される時代が来たことに注目しています。
「これは、脂肪膵が将来的に“着目すべき所見”になる可能性を示唆するものであり、膵臓がんの予防・早期発見において転機になるかもしれない」と考えています。
これまで、膵臓がんは“沈黙のがん”とも呼ばれ、早期発見が難しい病気でした。しかし脂肪膵のような画像上の変化がリスク指標になれば、より早期に注意を向けるきっかけになります。
まとめ|脂肪膵があれば、今後の経過観察を
脂肪膵があること自体で必ず膵がんになるわけではありませんが、体重・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病がある方では特に注意が必要です。
当院では、膵臓の状態評価のための腹部エコーや血液検査を行い、必要に応じて専門施設での精密検査もご紹介しています。
「検診で脂肪膵を指摘された」「家族に膵がんの人がいる」「糖尿病と診断された」など、気になる点があればお気軽にご相談ください。