尼崎市・塚口の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。

食道がんは、依然として日本人にとって重要ながんの一つです。
2022年版「食道がん診療ガイドライン」では、健常人における野菜や果物の摂取が食道がん予防に役立つ可能性が示されています。今回はその内容をわかりやすくまとめます。

◆ 食道がんの疫学

食道がんは、日本では胃がんや大腸がんに比べると頻度は低いですが、進行が早く、見つかった時点で進行していることが多いのが特徴です。
特に飲酒・喫煙・食生活が発症リスクに大きく関与することが知られています。
そのため、日常生活の中での予防意識とともに、定期的な検査が重要です。

◆ ガイドラインでの結論

ガイドラインでは、「健常人が野菜・果物を摂取することを弱く推奨する」と結論づけられています。
これは、合意率100％で決定された推奨であり、臨床的にも信頼性のある見解です。

◆ 根拠となった研究

文献検索の結果、国内外の複数の観察研究やコホート研究が解析されました。特にアジア地域の大規模研究が対象となり、以下の結果が得られています：

• ■ 果物摂取量が多い人ほど食道がんの発生リスクは低下（RR:0.61, 95%CI:0.30-0.73, p<0.001）
• ■ 野菜摂取量が多い人も同様にリスクが低下（RR:0.58, 95%CI:0.45-0.82, p<0.001）
• ■ 一方で、果物や野菜摂取と食道がんによる死亡率との関連は明確ではなかった

いずれも観察研究であるため因果関係を断定はできませんが、1万人以上を対象とする大規模コホート研究も含まれており、疫学的に質の高いデータと評価されています。

◆ どのように役立つのか？

野菜や果物には抗酸化物質・食物繊維・ビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれています。これらは：

• ■ 活性酸素によるDNA損傷を防ぐ
• ■ 発がん性物質の代謝を助ける
• ■ 腸内環境を整える

といった働きを持ち、発がんリスクの低下に寄与すると考えられています。

◆ 食道がんの早期発見と胃カメラ検査の重要性

食道がんは自覚症状が乏しく、気づいたときには進行しているケースが少なくありません。
そのため、胃カメラ検査で食道を詳細に観察することが早期発見に直結します。
特に飲酒・喫煙歴のある方、慢性的な胸やけやつかえ感のある方は検査が推奨されます。

◆ 当院院長の専門性

当院院長は、京都大学医学部附属病院や大阪国際がんセンターといった日本有数の食道がん症例を扱う施設で研鑽を積み、食道がん内視鏡診療に精通しています。
また、食道がん診療ガイドラインの執筆にも携わったエキスパートです。
→ 院長のガイドライン執筆についてはこちら

◆ 公式ガイドラインのご紹介

この記事で紹介した内容は、「食道癌診療ガイドライン 2022年版」に基づいています。
詳しくは公式書籍をご参照ください。
→ 食道癌診療ガイドライン2022年版 公式ページ

まとめ｜野菜と果物を日常に、そして定期的な検査を

2022年版食道がん診療ガイドラインでは、野菜や果物の摂取が食道がん発生リスクを下げる可能性が示されました。
「弱い推奨」ではあるものの、合意率100％で推奨されており、日常生活の中で取り入れやすい予防策のひとつです。
さらに、胃カメラによる食道の詳細な観察が早期発見には不可欠です。
当院は食道がん診療のエキスパートによる診療を行っていますので、どうぞ安心してご相談ください。

◆ 関連ページ

食道や胃のがん検診には胃カメラが有効です。
→ ページはこちら

便通異常や血便がある場合は大腸カメラでの検査が必要です。
→ ページはこちら

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