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尼崎市・塚口の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。
「ABC健診」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
これは、胃がんのリスクを血液検査で層別化(グループ分け)する方法です。
痛みのない検査で胃の健康状態を把握できるため、胃がん予防の第一歩として注目されています。
本記事では、ABC健診の仕組み・結果の解釈・科学的根拠(エビデンス)・ガイドライン上の位置付け、そして結果ごとの推奨対応について、医師の立場から解説します。
◆ ABC健診とは?
ABC健診は、「血清ペプシノゲン値」と「ピロリ菌抗体」という2つの血液マーカーを組み合わせて、
胃の粘膜の萎縮の程度とピロリ菌感染の有無を評価し、将来の胃がんリスクを層別化する検査です。
| グループ | ピロリ抗体 | ペプシノゲン | 胃がんリスク |
|---|---|---|---|
| A群 | 陰性 | 陰性 | 最も低い(正常胃) |
| B群 | 陽性 | 陰性 | 中等度(感染はあるが萎縮なし) |
| C群 | 陽性 | 陽性 | やや高い(感染+萎縮あり) |
| D群 | 陰性 | 陽性 | 高い(萎縮が高度で菌が消失) |
◆ 機序(メカニズム)で理解するABC健診
胃がんの発生には、以下のような段階的な変化が起こります。
- ① ピロリ菌感染 → 慢性胃炎
- ② 慢性炎症の持続 → 粘膜萎縮(胃酸分泌低下)
- ③ 腸上皮化生 → DNA損傷・がん化
ペプシノゲンは胃粘膜細胞から分泌される消化酵素の前駆体で、
胃粘膜が萎縮すると血中ペプシノゲンI値が低下し、I/II比も低下します。
この変化を利用して、胃の萎縮度(がんリスク)を非侵襲的に評価するのがペプシノゲン法です。
一方、ピロリ菌抗体は感染の有無を反映します。
◆ エビデンスとガイドライン上の位置付け
ABC健診の有効性は、多くのコホート研究で支持されています。
- ・ピロリ菌陽性者では陰性者の約5〜10倍の胃がんリスク
- ・ペプシノゲン陽性群(萎縮あり)では陰性群の約3〜5倍のリスク
- ・両者を組み合わせることで、将来の胃がん発生を層別化できる
日本では、ABC健診は
スクリーニングの補助的手段として位置づけられています。
一方で、リスクが中〜高群(B〜D)に該当する場合には、内視鏡検査による定期的なフォローアップが推奨されています。
◆ 各群ごとの推奨医療行動
| 群 | リスク評価 | 推奨される医療行動 |
|---|---|---|
| A群 | 低リスク(正常胃) | ピロリ感染なし。胃がんリスクは低いが、定期健診(3〜5年ごと)で変化を確認。 |
| B群 | 中等度リスク(感染あり・萎縮なし) | ピロリ菌除菌治療を推奨。除菌後は年1回の胃カメラで再評価。 |
| C群 | 高リスク(感染+萎縮) | 除菌後もリスクは残るため、毎年の胃カメラ検査を推奨。 |
| D群 | 最も高リスク(萎縮高度で菌消失) | 胃がん発生の可能性が高く、年1回以上の内視鏡フォローが必要。 |
◆ 一覧で見るABC健診のまとめ
| 分類 | ピロリ菌抗体 | ペプシノゲン | 胃粘膜の状態 | 胃がんリスク | 推奨される対応 |
|---|---|---|---|---|---|
| A群 | 陰性 | 陰性 | 正常胃 | 低い | 3〜5年ごとの健診で経過観察 |
| B群 | 陽性 | 陰性 | ピロリ感染あり・萎縮なし | 中等度 | ピロリ除菌+年1回の胃カメラ |
| C群 | 陽性 | 陽性 | 萎縮性胃炎あり | 高い | 除菌後も年1回の胃カメラ継続 |
| D群 | 陰性 | 陽性 | 高度萎縮(菌がすでに消失) | 最も高い | 年1回以上の内視鏡フォロー |
◆ 当院での対応
当院では、ABC健診(血液検査)と胃カメラ検査の両方に対応しています。
血液検査の結果から胃がんリスクを評価し、必要に応じて内視鏡検査やピロリ除菌まで一貫して行います。
◆ まとめ|ABC健診は胃がん予防の「入口」
ABC健診は、非侵襲的に胃がんのリスクを予測できる有用な検査です。
結果に応じてピロリ除菌や胃カメラ検査を適切に行うことで、胃がんを未然に防ぐことが可能です。
健診でのスクリーニングや、胃の不調が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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