生魚摂取が引き起こすアニサキス症に正露丸が有効？｜阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニック

尼崎市の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。当院は胃カメラ、大腸カメラといった内視鏡検査に力を入れている消化器内科クリニックです。今回は、生魚摂取による食中毒の一つ「アニサキス症」と、身近な市販薬「正露丸」に含まれる成分が示した意外な研究成果についてご紹介します。

◆アニサキス症とは？

イカ、サーモン、サバのお刺身やお寿司など
生魚を食べた後、数時間以内に突然起こる激しい腹痛――それは「アニサキス症」かもしれません。

アニサキス症は、魚介類に寄生する線虫「アニサキス」の幼虫が、食後に胃や腸の粘膜に侵入することで発症する食中毒の一種です。日本では年間2万件以上の発症が報告されており、年々増加傾向にあります。

アニサキスは胃酸や多くの薬剤に耐性があるため、自然排出まで激しい痛みが続くこともあります。現在の医学では、もっとも確実な治療法は胃カメラを用いた虫体の直接摘出です。

当院では、アニサキス症が疑われる場合、当日中の内視鏡検査を実施し、迅速かつ安全に対応しています。
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2025年に発表された最新の研究では、正露丸に含まれる「木クレオソート（wood creosote）」がアニサキスの運動を抑制し、死滅させる可能性があることが報告されました。

木クレオソートは、古くから整腸薬や鎮痛薬として用いられてきた天然成分で、抗菌・鎮痙作用などが知られています。

この研究は非常に興味深く、今後のアニサキス症治療の可能性を広げる一歩となるかもしれません。しかし現時点では、正露丸がアニサキス症の治療薬として確立されているわけではなく、応急処置薬として使用することも推奨されていません。

症状がある場合は自己判断で市販薬に頼らず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

とはいえ、私たちの身近な薬である正露丸に、アニサキスの活動を抑える可能性があるというのは、とても夢のある話ですね。

当院では、アニサキス症が疑われる腹痛に対し、当日対応可能な胃カメラ検査を実施しています。
お刺身を食べたあとに胃痛や違和感がある方は、お気軽にご相談ください。

Pereira CD, et al. Effects of wood creosote on anisakiasis: A Japanese traditional medicine as a potential tool against Anisakis larva infection.
Parasitology International. 2025;108:103077.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1383576925000509