健診でCEA・CA19-9が高いと言われたら｜その意味と必要な検査

尼崎市・塚口の阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックです。

健康診断や人間ドックで「腫瘍マーカーが高い」と指摘され、不安を感じて来院される方は少なくありません。
腫瘍マーカーは、がんのスクリーニングに用いられることがありますが、数値が高い＝がんとは限りません。
今回は、代表的な腫瘍マーカーであるCEAとCA19-9について、その意味と上昇の原因、必要な検査について解説します。

● 腫瘍マーカーとは？

腫瘍マーカーとは、体の中でがん細胞が作り出す物質や、がんの発生に反応して体内で増加する物質を血液検査で測定したものです。
ただし、これらはがん以外の炎症・喫煙・加齢・良性疾患でも上昇することがあるため、単独でがんを診断することはできません。

● CEA（がん胎児性抗原）とは

CEA（Carcinoembryonic Antigen）は、もともと胎児の消化管に存在するタンパク質で、成人ではほとんど作られません。
この値が高くなるとき、以下のような疾患が考えられます。

• ・大腸がん
• ・胃がん
• ・膵がん
• ・肺がん
• ・乳がん
• ・（まれに）食道腺がん

特に、食道腺がんでは比較的まれですがCEAやCA19-9が上昇する例が報告されています。
当院の院長は、こうした食道腺癌に関する臨床研究を行い、その成果を学術論文として発表しています。
▶ 「食道腺癌の臨床的特徴に関する研究（医学書院・胃と腸）」

一方で、がんではなくてもCEAが上昇することがあります。

• ・喫煙習慣（タバコを吸う方は高値を示しやすい）
• ・慢性胃炎や胃潰瘍
• ・肝疾患（肝炎・肝硬変）
• ・膵炎や胆道系疾患
• ・甲状腺疾患

そのため、まずは他の検査結果や症状を合わせて総合的に判断する必要があります。

● CA19-9とは

CA19-9（糖鎖抗原）は、膵臓や胆道、胃、腸などの上皮細胞で産生される物質です。
上昇する主な疾患は次のとおりです。

• ・膵がん
• ・胆のうがん・胆管がん
• ・胃がん・大腸がん
• ・食道腺がん（まれ）

しかし、CA19-9はがん以外の病気でも上昇することがあります。

• ・胆石症・胆のう炎
• ・慢性膵炎
• ・肝炎や肝硬変
• ・糖尿病
• ・便秘や腸閉塞などで腸の通過が悪いとき

また、CA19-9は血液型遺伝子の影響を受けるため、「ルイス抗原陰性」の方では、たとえ膵がんがあっても値が上昇しないことがあります。

● 腫瘍マーカー高値を指摘されたときの考え方

腫瘍マーカーは、がんの早期発見に役立つこともありますが、単独でがんを診断する検査ではないことが重要です。
「少し高い」と言われた場合でも、炎症や生活習慣が関係していることも多いため、焦る必要はありません。
しかし、特に数値が以前より上昇している場合や、消化器症状（食欲低下・体重減少・腹痛など）を伴う場合には、より詳しい検査が必要です。

● 当院で行える検査

腫瘍マーカーが高値の方に対して、当院では以下の検査を組み合わせて原因を評価します。

• ・胃カメラ検査：胃がん・胃炎・胃潰瘍などの評価に。
• ・大腸カメラ検査：大腸がんやポリープの早期発見に。
• ・腹部エコー・CT検査：肝臓・胆のう・膵臓などの病変を評価。
• ・血液検査：肝胆膵機能や炎症反応の評価。

当院では、鎮静剤を使用した眠ったままの胃カメラ・大腸カメラにも対応しており、検査が不安な方でも安心して受けていただけます。
また、日帰り大腸ポリープ切除にも対応しています。

● 放置してはいけない症状

腫瘍マーカーが高いだけでなく、次のような症状を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。

• ・体重が減ってきた
• ・食欲が落ちている
• ・みぞおちやお腹の痛みが続く
• ・黄疸（皮膚や白目が黄色い）
• ・便が黒い、血が混じる

こうした症状は消化器がんの初期サインであることもあります。早期の精密検査が大切です。

● まとめ｜腫瘍マーカーは「体からのサイン」

CEAやCA19-9の上昇は、必ずしもがんを意味するものではありませんが、身体のどこかで異変が起きている可能性を示すサインです。
早期に検査を行うことで、がんや炎症性疾患を早い段階で見つけることができます。
阪急塚口駅前いのうえ消化器内科・内視鏡クリニックでは、豊富な内視鏡経験と研究実績をもとに、原因の見極めから治療まで丁寧にサポートいたします。
健診で腫瘍マーカー高値を指摘された方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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